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読んで印象に残った本などをレビューします。

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下巻途中までで止まっているが、とりあえずレビューします。

とにかく圧巻の推論、仮説。執念とも思える多角的な考察。ダーウィンの思考過程をなぞっていくのがとても面白い。世界にインパクトを与えた本として、一読の価値あり。

しかし、その説が正しいかはこれだけでは確信できない、というのが正直な感想ですね。壮大な仮説ではあるが、「こうも考えられる」の域を出ていない気がします。科学とは呼び難い。絶対的な証拠が足りなすぎる。時間軸が長すぎて検証できないのは仕方ない、ということになるのだろうけれど。

その後、ネットや他の書籍などいろいろ当たってみても、納得させられるような証拠は見当たらず、未だ仮説の域を出ていない理論、と考えるのが妥当ではないかと思えてきました。

もちろん、DNAやそのメカニズムの共通性をもって、祖先が共通であると考えることは、当然な推論として正しい可能性が大きいと思う。
しかしそのことは、この生態系が全て偶然と確率の法則によって成り立ってきたということを裏付けるものではないし、進化の過程そのものの決定的な証拠がない以上、「確からしい仮説」という注釈がつくのではないかと思う。

そもそも、人体やDNA、遺伝、脳の仕組み、などを例に取っても、分子レベルから完璧に組み立てられているこれだけ複雑かつ精密なシステムが、自然発生的(確率的な選別、ランダムネス)だけで成し遂げられるとは、とても思えないのんですよね。そこにはとてつもない方向性と戦略が込められていると思うんです。

確率的選別のメカニズムのみでアメーバからここまで進化したと考えられる人は、確率というものをどう考えるのだろうか。それは、あり得る確率なのだろうか、ということです。

それは、自動車を構成する元素を全て箱に入れて、適当に振ったり熱したり冷やしたり、をとてつもない長い時間繰り返したら、いつかは自動車ができる、と言っているのと同じようにも思えるのです。
このように全ての構成要素が目的を持って、相互に関連し、高度に統合されている機能を持つシステムは、やはり元となる設計が必要なのでは?とも思うわけです。

もちろん、環境に合わせてある程度形態を変えたり、特性を調整したり、というメカニズムはあって、それがこの動的に変化する環境の中で生命が種を維持していく重要なメカニズムなのだろうとは思うのです。それを提示したダーウィンの功績は素晴らしい。

しかしそういうメカニズムが遺伝選別のシステムに組み込まれているとしても、それが本当に種を越えていくのか、アメーバから猿になり、人間になるのか、についてはダーウィンは答えられていないと思うし、DNAが似ている、くらいでは決定的な説明にはならないと思うのです。

まあそんなことで、これを頭から信じるのはどうも危ないのではないか、と思うようになりました。
少なくとも、批判的な目も持って見るのが正しい姿勢ではないかと、いう気がします。

DNAや生物学の知識も増やしていって、自分なりの理解を深めていきたいと思います。


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