本レビュー(tree)
サイズ:     
読んで印象に残った本などをレビューします。

Loading ...

    ノートlv2まで
  経済・社会   folder       ノート本文     ノート本文を隠す
おすすめ本(経済・社会)       LV1
0   sub - total :  0  (no unit)
- 「the work of nations」:流し読みでも大いに得るところがあった本です。ああ、すいぶん前から世界はこちらへ向けて進んでいたんだな〜、という感じがします。

- 「希望を捨てる勇気」:少し前の本ですが、日本における雇用規制緩和の重要性などを分かりやすく説明してくれています。
(本文なし)
経済       LV1 評価なし
6   sub - total :  0  (no unit)
(サブノート)
- Link > amazon:ザ・ワーク・オブ・ネーションズ―21世紀資本主義のイメージ
- Link > amazon:経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか
- Link > amazon:変わった世界 変わらない日本 (講談社現代新書)
- Link > amazon:戦後世界経済史―自由と平等の視点から (中公新書)
- Link > amazon:金融緩和の罠 (集英社新書)
- Link > amazon:スウェーデン・パラドックス
(本文なし)
Link     amazon:ザ・ワーク・オブ・ネーションズ―21世紀資本主義のイメージ ★★★★★
この本が80年代のアメリカで書かれたことには衝撃を受けます。著者の洞察力による部分も大きいとは思うけれど、すでにアメリカにこういう現実があった、ということだろうから。

内容は、経済活動がグローバル化し、労働の水平分業が進んだ結果、先進国の個人は「シンボリックアナリスト」(と本書中で呼んでいる)のような、付加価値/創造性の高い仕事にシフトしていかなければならない、といったような話ですが、その必然性を説明する文脈には、経済から教育まで広く言及していて、説得力があります。

このような考えが実際に政策にも反映されてきた現実。
その後の、アメリカの強さの発揮と、日本の置いていかれぶりは、このあたりの視点を社会の中にどれだけ組み込むことができたか、というところも寄与しているのでは、と思えます。

過去20年間で、日本の名目GDPは変わらず、アメリカは約2倍に成長していますね。
アメリカは労働者への分配が極めて薄い社会なので、社会の不満は大きくなっていますが、経済成長自体には大いに成功していると思えます。(成長と分配は個別の問題として考えていいだろうと思います)

Link     amazon:経済危機のルーツ ―モノづくりはグーグルとウォール街に負けたのか ★★★★
この本は、80年代の世界の大転換に日本がついていけていないということを問題意識に据えていますが、これは「The work of nations」の内容と見事に符合しています。

著者の提唱する、金融と情報産業へのシフトには完全には同意しないのですが、現状の分析と、そこへの経緯の説明はさすが、明快で説得力があると感じます。
しかし、情報革命+人工知能によるソフトウェア及びクリエイティブワークの指数関数的な重要性増大とその意味に、まだ多くの日本人は気づいていないのではと思います。
この変化を牽引するIT技術の動きを見ていると、アメリカとの開きには愕然とします。遠すぎて背中すら見えない感じではないでしょうか。

現在のアメリカとの開きは、とてつもなく大きいけれど、IT技術者以外の人達は、アメリカ人と同じ製品やサービスを日常的に使っていることで、「そこそこ近いレベルにある」と錯覚しているのではないかと思います。
日本のITはアメリカに「ちょっと遅れている」というようなレベルでなく、「全く歯が立たない」というのが現状で、それに危機意識がないのは、(ソフトウェア中心の時代にあって)ちょっとまずいのではという気がします。

やはり構造改革は避けて通れない、ということを再認識させてくれる本だと思います。

Link     amazon:変わった世界 変わらない日本 (講談社現代新書) ★★★★
産業構造の変化の観点から、現在の日本社会の問題点を整理しています。

世界は90年代からIT革命により分散型意思決定、水平ネットワークの時代に入っているのに対し、
日本は高度成長期の製造業にこだわり、円安や補助金などで保護してきた結果、産業構造の変化が遅れ、中央集権型意思決定、垂直統合型の社会構造のまま、
IT時代に適した産業が生まれてこないため、低成長が続いている、といった内容です。
野口悠紀雄先生の本は分量が多くて読むのが大変なものが多いのですが、この本はコンパクトに先生の持論を読めるのでオススメします。

社会の構造から変わらないと、次の時代(あらゆるものがデータ化され、共有され、人工知能が牽引する時代)にはついていけないはずで、まさにその通りだと思うのですが、まずはアベノミクスに代表される利益誘導型の政治が変わらなくては、その道筋は見えてきません。

人々の意識がどのようにして変わっていくのか、そこにかかっているのでしょう。
その起爆剤は何になるのでしょうか。技術でしょうか、人の行動でしょうか。

Link     amazon:戦後世界経済史―自由と平等の視点から (中公新書) ★★★★
現代世界の歴史がよく分かっていないと感じていたので、経済を軸に戦後の歴史を概観するこの本を読んでみました。

少し雑然としている感じですが、現在進行形の歴史とは、そんなものかもしれません。
現代社会を読み解く基礎知識として、ざっと全体の流れを掴むのに良い本だと思います。
Link     amazon:金融緩和の罠 (集英社新書) ★★★★
アベノミクスでは、インフレの期待で経済が上向くという考えを前提としています。
期待を操作することで、確かに株価は上がりました。
しかし短期的な期待に影響されやすい株価は操作できても、実体経済はどうでしょうか。
現在のような需要不足の環境にあって、金融的な手法で、本当に実体経済は上向くのでしょうか?

そのようなカラクリが、経済専攻でもない一般市民にはよくわかりません。
「金融緩和」と言われただけでなにか魔法のような、自分にはよくわからない話と感じ、自分での判断を諦め、思考停止してしまうのではないでしょうか。
「アベノミクス」は、まさにそのような効果を狙ったトリックだと考えています。
(禁じ手の、将来借金からのバラマキで、見た目の経済は水増しされています)

この本では、一般人にはわかりにくい金融緩和の功罪を、現在の社会環境の特殊性などを中心に、シンプルな思考の積み重ねで読み解いています。
教科書的な経済理論が成立した頃の社会は、ピラミッド型人口の社会であり、成長途上で需要が供給を上回っていて、ボトルネックとなっている資金供給を潤沢にすれば生産が拡大し、問題が解決する時代だったのだろうと思います。

しかし前提となる条件は現在では大きく異なっています。
ごく当たり前の推論でも、そのような話は成り立たなそうだな、と感じられるのではないでしょうか。
そのようなところから、現在の金融政策を読み解くヒントを得られる本だと思います。
Link     amazon:スウェーデン・パラドックス ★★★★
(だいぶ前に読んだ上に、流し読みだったので少しいい加減なレビューになります)

この本の内容は結構印象に残っていて、今でも社会のあり方を考える際の材料になっている気がします。
現在の社会からどういうところを目指したらいいのか、結構なヒントがあると思います。

スェーデンなど北欧の小国は、高福祉で高成長というイメージがあります。(実際にそうですが)
しかし「高福祉」という言葉から我々がイメージするような、単なるバラマキではなく、同時に競争の徹底があるからこそ成功しているというのが、この本を読むとよく分かります。

企業の保護措置などは取らず、競争力が落ちた産業、企業は淘汰するに任せる。
そのかわり、企業、産業間での人の移動がスムーズになるように、職業教育などの様々な仕組みを用意して、企業という「ハコ」でなく、個人を守ることに注力していることがわかります。
言い換えれば、日本においては円安誘導やバラマキで実施している「企業への福祉」を、「個人への福祉」に置き換えれば、自然と高福祉ということになるのかもしれません。
そしてそうすることで、恣意的な利益誘導からルールの徹底した市場となり、不公正な格差や労働慣行の解消、時代に適した産業構造へのスムーズな移行など、資本主義として重要な機能を回復強化できるのではないかと思います。
福祉理念のあり方、対象の捉え方次第で、(同じ財政規模あるいはそれ以下でも)高競争で高福祉な社会というのは実現可能なのかもしれない、と思わせてくれる本でした。

全部読むのは大変ですが、流し読みでも一読の価値はあるのでは、と思います。
社会     amazon:スウェーデン・パラドックス   LV1 評価なし
9   sub - total :  0  (no unit)
(サブノート)
- Link > amazon:近代民主主義とその展望 (岩波新書 黄版1)
- Link > amazon:「強すぎる自民党」の病理 老人支配と日本型ポピュリズム (PHP新書 1058)
- Link > amazon:希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学
- Link > 日本教の社会学 | 小室 直樹, 山本 七平 |本 | 通販 | Amazon
- Link > amazon:サッチャー時代のイギリス―その政治、経済、教育 (岩波新書)
- Link > amazon:隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】
    隷属への道(wikipediaより) > wikipedia:隷属への道
- Link > amazon:ブレア時代のイギリス (岩波新書 新赤版 (979))
- Link > 「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3)) | 山本 七平 |本 | 通販 | Amazon
- Link > amazon:憲法がヤバい (ディスカヴァー携書)
(本文なし)
Link     amazon:近代民主主義とその展望 (岩波新書 黄版1) ★★★★
今日に至る民主主義発展の歩みが、簡潔に、かつ考えさせる語り口で書かれていて、とても読みやすく面白い。

戦後、民主主義は当然のこととして受け止められる世界になってきたと思いますが、一方で、経済のグローバル化とグローバルインバランス、成熟経済化、有権者の高齢化と世代ギャップの拡大、IT化の進展、などに伴って、一国単位での民主主義が必ずしも有効に機能しないケースも増え、世界的に既存政治への不信感が広がっている状況ではないかと思います。

このような状況にどう対処していったらいいのだろうか、簡単な答えは見つかりそうにないけれども、まずは今日当たり前と受け止めている「民主主義」はどのような経緯を経て現在の姿となったのか、そのあたりを知りたいと思い、この本を手に取ってみました。

民主主義について色々と考えさせてくれる本でもあり、読んでみて良かったと思います。


Link     amazon:「強すぎる自民党」の病理 老人支配と日本型ポピュリズム (PHP新書 1058) ★★★★
戦後からの政治の流れを中心に、日本社会の問題を整理している本です。

現在、「支持政党なし」が半分近くで、自民党一強と言いながらも消極的な支持であり、国民の多くが現在の政治に一種の諦めを感じているのではないかと思います。
世代間の大きな環境の差と不公平、そしてそれを解消する手段を持たない若者世代。
時代にあった舵取り不在のための産業競争力の低下と、それによる長時間労働の慢性化、貧困、格差の拡大。
政治が数の論理でしか動けないとすれば、数において優る高齢者のための社会になってしまうのは避けられません。

現在の日本は「大きな政府」対「小さな政府」といった、ごく当たり前の政策論争すら存在しません。
自民党も民進党も、大きな政府指向であり、方向は違えどバラマキを指向している点では同罪といえます。
なぜこのような社会になってしまったのか。我々に解決への道は与えられているのか。
このような現状に至るまでの流れを書いたのがこの本です。

解決方法は自分たちで考えるしかありませんが、まずは問題の所在と、戦う相手を明確にする意味でも、過去を整理しておくことは重要ではないかと思います。
Link     amazon:希望を捨てる勇気―停滞と成長の経済学 ★★★★
だいぶ前に読んだ本なので、思い出しレビューになります。

かなりコンパクトに、日本社会の置かれた状況、問題点と、解決に必要なものとが書かれていたと思います。
特に、雇用の流動性について、この本を読んで重要性を再確認できた気がします。
解雇規制こそが日本社会を固定化し、新陳代謝を阻害しているのだという視点を与えてくれた本でもあり、その後の考え方に影響を受けたことは間違いありません。

とにかくコンパクトな文章で、本質的な問題へアプローチしているので、誰にでもわかりやすく、日本社会を考える上での良いフレームワークを与えてくれる本だと思います。
Link     日本教の社会学 | 小室 直樹, 山本 七平 |本 | 通販 | Amazon ★★★★
対談形式の本です。

一般的には、無色透明な無宗教社会と考えられている日本社会ですが、実は思考様式、行動様式に「宗教的」な制約が色濃いのだ、というのが両氏の主張です。

確かに、キリスト教の理解に立って日本社会を眺めると、「宗教的」と言っていい次元での風土/文化的規定が行き渡っていると感じられます。
それは、明文化された「宗教」との対比という形で初めて浮かび上がって来るものですが、深いところで我々の生活/行動を決定している「何か」が存在しています。
それをこの本では「日本教」と名付け、一神教社会との対比を通して、様々な角度から論じています。

現在日本の直面する様々な課題、なかなか解決の道筋が見えない問題なども、元を辿れば日本人特有の物の考え方、価値観などに由来しているのだ、ということが、二人の対談を通して、なんとなく見えてくる本になっています。

無くならない新卒一括採用、年功序列型社会、進まない働き方改革、世界最低レベルの女性の社会進出、などなど、なかなか物事が変化しない日本社会ですが、根本にある価値観レベルから見直さないと、なかなか解決の道筋も見えてこないのではないだろうか、と思われますね。
Link     amazon:サッチャー時代のイギリス―その政治、経済、教育 (岩波新書) ★★★★
だいぶ前に読んだのでかなり忘れてしまいましたが、サッチャーによりイギリスはどうなったのか、イギリスの政治文化と共に読めて面白かったと記憶しています。
著者自体はだいぶ左寄りな感じで、サッチャーには批判的なトーンだけれど、そういうバイアスがかかっているからこそ、「生きた」論点が見えてきて面白いと思います。
Link     amazon:隷属への道 ハイエク全集 I-別巻 【新装版】 ★★★★★
最近になってようやく読んだのですが、もっと早く読んでおくべき本だったと思います。

よく言われる「小さな政府」は、一見すると福祉や社会保障が手薄になり、弱者に厳しい社会という負の面が目立ち、そのメリットが直感的には分かりにくいものです。
「新自由主義」もその流れの先にあるものですが、その意味するところ、根拠となる考え方、守ろうとしているものなどを、よく知らずにいました。

小泉改革で行われた「新自由主義」は、その意味では中途半端であり、企業側の都合に立った「小さな政府」だったため、負の側面ばかり(派遣の増加など)の結果となってしまい、「小さな政府」へのアレルギーを拡大させただけ、という意味で、罪の大きいものだったと思います。
(その後は、際限なきバラマキ政治の復活で、泥沼に入り込んでいます)

この本は、サッチャー、レーガンの改革をはじめとした「小さな政府」「新自由主義」の元となる思想であり、平易な言葉で、大きな政府の問題点をわかりやすく指摘しています。大きな政府的な政策を支持するとしても、少なくともこの考え方は踏まえておくべきではないか、と感じさせる、説得力のある文章です。

現代社会に生きる人すべての必読書と言ってもいいのではないかと思います。
Link     amazon:ブレア時代のイギリス (岩波新書 新赤版 (979)) ★★★★
「サッチャー時代のイギリス」に続いて読みました。
これもだいぶ前に読んだのでかなり忘れてしまったのですが、反対側(労働党側)の政権としてのブレア政権が、どのような立ち位置で政権を運営していったのか、これもイギリスの政治文化と共に読めて面白かったと記憶しています。
Link     「空気」の研究 (文春文庫 (306‐3)) | 山本 七平 |本 | 通販 | Amazon ★★★
日本を無謀な大戦へと導いた主犯でもあり、
現在も日本社会を重苦しく覆う「空気」なるものの正体に鋭く迫った本です。

一言に要約するなら、日本では欧米社会での「神と個人の一対一関係(絶対性)」に当たるものが無い為、常に流動的な「空気」に支配されてしまうのだ、
といったことになると思いますが、同時に社会における「対象の相対化」が不十分な社会では、対象となる問題自体が絶対化されてしまい、解決できないというジレンマも抱えてしまうことが述べられています。
これはまさに現在の日本の状況を言い当てていると思います。

全体として少し言い回しが難しく、決して読みやすい本では無いため星3としましたが、読み終えれば何かしらの気づきを得られる本ではないかと思います。

Link     amazon:憲法がヤバい (ディスカヴァー携書) ★★★
確かにやばいんですよね、改正案。
自民党改正案をみて「何かおかしい」と思ったものの、憲法の知識はゼロだったので、本を買ってざっと読んでみました。
やっぱりおかしいと、よくわかりました(笑)

読書として質の高いもの、というわけではありませんが、現在の問題を知る上では良かったかな、と思える読書でした。
福祉、貧困など     amazon:憲法がヤバい (ディスカヴァー携書)   LV1 評価なし
4   sub - total :  0  (no unit)
(サブノート)
- Link > amazon:持続可能な福祉社会―「もうひとつの日本」の構想 (ちくま新書)
- Link > amazon:反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)
- Link > amazon:シルバー民主主義 - 高齢者優遇をどう克服するか (中公新書)
- Link > amazon:絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)
(本文なし)
Link     amazon:持続可能な福祉社会―「もうひとつの日本」の構想 (ちくま新書) ★★★★
経済や社会の変化に合わせて、福祉など仕組みも見直されなければならないのは当然ですね。

特に、戦後日本のような、高度成長と停滞、急激な人口増加と減少、といった、短い期間で社会環境に大きな変化がある場合、変化への対応がなされなければ大きな問題となるのは当然だと思います。

経済成長を前提とした社会設計から、成長のない「定常経済」と、それにマッチした社会への移行。
この本では、その必然性を説いています。
現在の日本は、これに取り組もうともしていませんね。
将来から借金しながら、このシフトを無理やり先延ばしにして、問題を悪化させてすらいると思います。
成長時代を生きた老人が多数者の社会では、シフトはなかなか難しいかもしれません。
しかし、先延ばしにも限界があります。

これまでの社会変化の大きな流れを踏まえて、「これから」をどう考えていったらいいのか、考えるきっかけを与えてくれる本だと思います。
Link     amazon:反貧困―「すべり台社会」からの脱出 (岩波新書)
実際の貧困においては、貯金はもちろんだが、職業スキルや、頼れる友人家族など、いろいろなもの(本では「溜め」と呼んでいる)の欠如から、精神的な自由、行動の自由が奪われてしまい、貧困からの脱出が困難になる、という認識が重要である、としている。

いわゆる「自己責任論」の問題は、それぞれ個別の条件のみを取り上げて自分と比較してしまうことであり(自分はちゃんと◯◯をやっているのだから、やらない人間が悪い、など)、その背景となる様々な条件が違っていることは、その状態に置かれた人間以外にはなかなか想像できないものであると言っている。
その通りだろう。

そのような自己責任論からの脱却がまず第一に必要で、その上で日本の社会保障システムの構造的な問題(セーフティーネットをまとめてすり抜けてしまう「すべり台社会」など)に向き合うことが必要だろう。

しかし、解決は日本社会には相当難しい問題かもしれないとも思う。
なぜなら、この国の根本的動作原理は未だに村社会(互助的共同体)の原理であり、欧米型の「人間の権利」や「人間そのものの価値」に前提を置いた、自由平等な「個人」の集合としての社会になっていないと思うからだ。

貧困問題単体ではなく、日本社会全体の理念や設計そのものから見直さねば解決できない問題かもしれないと思う。
それが動き出すのは、ようやく貧困者が多数になったときかもしれない。

しかしもちろん、諦めていては何も変わらない。
このように、実地で活動し、発信している人たちがいることは、希望である。



Link     amazon:シルバー民主主義 - 高齢者優遇をどう克服するか (中公新書) ★★★★
人口逆ピラミッド社会における、様々な問題を論じている本です。

分析は良心的で丁寧ですが、全部読むのは少し大変かもしれません。(流し読みをオススメします)
問題点の理解は程々にしたいので、流し読み程度でしたが、高齢者に偏った制度、政策がいかに現在の社会に広く浸透しているかがよく分かります。
背景として、有権者数が高齢者に偏っているという構造的問題があるので、解決は容易には見えませんが、まずはこの絶望的な現状を知っておく必要があるでしょう。
まずは問題を問題として正しく認識していなければ何も始まりませんが、現在の日本社会はそれもクリアしていません。
まずは、この辺りの認識を皆で共有するところからなのかもしれませんね。
Link     amazon:絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫) ★★★★
世界貧困地域の、圧倒的な貧困の現実を淡々とレポートしている。

我々日本人の多くはおそらく、実際の世界の貧困について、漠然としたイメージしか持っていないと思うが、このようにリアルな現実を垣間見ることのできる本はなかなか貴重だと思う。

これを読んでも、どうすればいいのか、解決はあるのか、全く見えてはこないが、それは我々一人一人が学び、考えていくことなのだろう。
単純な処方箋で解決できる問題ではないということははっきり分かるし、しかし放っておける問題でもない、というところでスッキリしない。
とにかくまずは、こういう現実があると知ること、無視を決め込んでいても現実は無くならないこと、忘れずに考え続けること、我々ができるのは、とりあえずそれくらいだろうか。
none     amazon:絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)   LV1
0   sub - total :  0  (no unit)
none (本文なし)
none     amazon:絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫) 0
none
ads