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読んで印象に残った本などをレビューします。
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実際の貧困においては、貯金はもちろんだが、職業スキルや、頼れる友人家族など、いろいろなもの(本では「溜め」と呼んでいる)の欠如から、精神的な自由、行動の自由が奪われてしまい、貧困からの脱出が困難になる、という認識が重要である、としている。

いわゆる「自己責任論」の問題は、それぞれ個別の条件のみを取り上げて自分と比較してしまうことであり(自分はちゃんと◯◯をやっているのだから、やらない人間が悪い、など)、その背景となる様々な条件が違っていることは、その状態に置かれた人間以外にはなかなか想像できないものであると言っている。
その通りだろう。

そのような自己責任論からの脱却がまず第一に必要で、その上で日本の社会保障システムの構造的な問題(セーフティーネットをまとめてすり抜けてしまう「すべり台社会」など)に向き合うことが必要だろう。

しかし、解決は日本社会には相当難しい問題かもしれないとも思う。
なぜなら、この国の根本的動作原理は未だに村社会(互助的共同体)の原理であり、欧米型の「人間の権利」や「人間そのものの価値」に前提を置いた、自由平等な「個人」の集合としての社会になっていないと思うからだ。

貧困問題単体ではなく、日本社会全体の理念や設計そのものから見直さねば解決できない問題かもしれないと思う。
それが動き出すのは、ようやく貧困者が多数になったときかもしれない。

しかしもちろん、諦めていては何も変わらない。
このように、実地で活動し、発信している人たちがいることは、希望である。




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