古典
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実に簡易で平明な語り口で、まさに「誰にでも理解できる」言葉で書かれた主張、と言った感じの古典。

ペインの経歴からくるものであろうが、この分かり易さこそが広く民衆の心に訴え、大きな力となった理由だろう、ということは想像できる。
思想としての深さや厚みこそないが、実際的な行動を喚起したという意味で、とても興味深い本だと思う。
また当時のイギリスとの関係、アメリカの置かれた立場などが伝わってくる内容で、面白く読めた。

歴史本の記述を通して間接的に知る事と、(このような薄い本でも)直接的に当時の人々の考えを本で読む事では、理解の仕方が全く違うので、薄い古典というのは読んで損なし、といった感じがする。

まだ第1巻の(下)を読みかけの段階だけれど、そこまででのレビューを書きます。

ーーーーーー

さすが、これは素晴らしい古典ですね。
読みやすい、分かりやすい、考えさせられる。

現在、空気のように存在しているかのような民主主義が、どのような過程を経てここに至ったのか、また、それ以前とは何が変わったのか。
現代民主主義への大きな飛躍の舞台となったアメリカ社会の観察を通して、民主主義の本質というものについて考えさせてくれます。

また、著者の力量にも大いに感銘を受けました。
洞察力とその視野の広さ/深さは、高度になったはずの現代社会に生きる我々の思考レベルをはるかに凌駕しているのでは、と思います。

この本でアメリカ民主主義に興味を持つようになり、ネットでアメリカのニュース、政治討論番組、大統領選のディベートなどの動画を見るようになったほか、派生してアメリカ社会や政治の本、アメリカ独立まわりの古典を読んだりするようになりました。

現代社会への実験場としてのアメリカ社会の事情は、知れば知るほど興味深く、まだまだ興味は尽きません。

一度は読んでおかないと、と思って読んでみたが、その価値はあったと思う。
本の内容としては、議論が雑だと思うので星3つとしましたが、この本を読む価値については星5つです。
この薄い本を読む事で、歴史の一部を直に見てみるという体験ができるのだから、まず読んで損はないでしょう。

まず第一に、この本の内容が受け入れられる時代があったということに驚きます。今から見ると相当に過激な内容ですね。
人類始まって以来の貨幣経済を否定しようとしているけれど、その対処法が驚くほど大雑把でアナーキー。
人間の思考、良心、判断力を信用しすぎの感じがします。

着目した問題(労働者の搾取)自体は、その時代においては大きな問題だったのでしょう。今でも、資本主義にはその問題は付きまとっていますね。労働者は、個人としては解体され、社会の歯車となっていってしまう、と。

その問題提起自体は確かに重要と思うのだけれど、その原因を資本家(私有財産)の存在に求めるところに無理がある。資本家(私有財産)は自由経済を効果的に回すための一装置にすぎず、それを解体したから問題が解決するというものではなかろう、と思うのです。
そして解体後の統治は労働者自身が行う、というのだけれど、神でない人間が全てを見通せない以上、仕組みとして破綻していると思わざるを得ない。
まあこのあたりは、資本主義が現在まで変化と改善を重ねてきた結果、問題点が我々に耐えられるレベルまで小さくなったからこそ、そう言えるのかもしれませんが。

アダムスミスの「神の見えざる手」は、人間には把握しきれない、市場の細部を、貨幣(市場経済)というものが自動調整すると言っているわけだけれど、このメカニズムを破壊して、これに勝る判断を、誰か特定の人間なり団体なりができる、と考えるのは、明らかに間違いであろう。そんなに賢くて完璧で全てを知る人間がいるわけがない。あるいは居たと仮定しても、そこに恣意が入り込むことは避けられない。

公平な市場による調整と、恣意的な決定と、どちらが民主的で効果的か、考えるまでもないと思うのだが、資本主義の「問題」の方があまりに目立っていた時代なのであろう。
また、市場や経済、技術が今ほど複雑でなく、発展や成長の方向というものを、上に立つ意思決定者が一意に定めることができる、と考えることができるような時代でもあったのだろう。

いずれにしても、人間の考えるユートピアというものは危ない。自らの思考力を信用しすぎてはいけない。現在あるものは、やはり何らかの理由があってそうなっていることが多い。もちろん問題がある場合には正していく必要があるが、現在の大前提を一気に否定し、何か別のもので置き換えればうまくいくだろうというのは、やはり想像力の欠如ではと思える。

そのような意味で、私はベーシックインカムみたいな考え方にもどちらかといえば否定的です。
一見、わかりやすくて面白いものは、現実を地道に改善していく大変さと、伴って発生する問題点を忘れさせ、実際以上に惹きつけられるので、冷静にそのメリットと実現可能性を見なくてはいけないと思う。
大きな変革もいいけれどその前に、もっと適切に再分配するとか、現実的な対処でできる事が残されているならば、まずそれをしっかり検討すべきではないか、という事を忘れてはいけないと思います。

ただし、時代が変わっていくとき、新たな仕組みが必要になる事はあると思うので、新たな可能性の検討に対してオープンな気持ちでいたいとは思っています。


(まだ読みかけですが素晴らしい本なので紹介します)

この本は、自由主義社会の考え方の原点を示してくれています。
なぜ、少数者が大事にされなくてはならないのか?すべての議論を尽さない限り、本当の真理とは呼べないから、反対論の自由こそが重要だ、と説明しています。言論の自由をはじめとした、現代社会の基礎をなしてきた考え方の由来を読み取ることができます。

日本では「自由」というものを「不自由」の反対程度に、なんとなく受け止めている人が多いのではと思いますが、自由主義社会を産み出してきた欧米社会では徹底して議論され、掘り下げられてきた結果としての積極的「自由」である、ということが読み取れる気がします。
この本を読むと、「自由」という言葉の意味が違って見えてくるかもしれません。
また、今の日本に欠けているものも、見えてきそうな気がしています。

未だ途中で止まっているのだけど、とりあえずのレビューを書きます。

平易な言葉で分かりやすく著者の考えが述べられていて、面白い。
決して難しくはない。長いけど。

この時代にこれだけの思考ができたことに驚くし、昔と今の社会の変わったところ、変わらないところなども見えてきて面白い。
そしてとにかく、世界を俯瞰する思考の広さ、深さは圧巻。
さすがは経済学の祖、と思える本です。

それにしても、現在のように分業化、専門化、細分化、された社会で、これだけ全体を俯瞰して思考をまとめることのできる人間がいるだろうか、と考えさせられます。
ダーウィンの「種の起源」、トクヴィルの「アメリカのデモクラシー」などの本でも同じように感じます。

アダムスミス自身が、工業化が進むと社会、仕事が分解されて人間が愚かになると警告しているそうですが、まさにその通りになっているのではないか、と思わされます。

だいぶ前に読んだので正確なレビューはできませんが、簡単な思い出しレビューを書きます。

とにかく読みやすく、あっという間に読める本でした。
ただ飯を食うために働くだけならアリでもやっている。人間は学び、考え、努力し、成長していかなければいけない、といった内容だったと思います。

しかし日々の糧を得るのにやっとであったであろうこの時代に学問の重要性を説き、それがベストセラーになったこと、またここで説かれている「学問」は、受験勉強のような実利目的、道具としての学問を超えて、ひろく教養を持ち、自ら深く考える、社会の構成員としての知性、道徳を求めていること、など、現代に生きる我々にもなかなか耳の痛い話だったという気がします。

日本には読んで損はない、と思えるような古典は少ないのではと思っているのですが、この本はその一冊に入るのではないでしょうか。

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