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読んで印象に残った本などをレビューします。
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最近になってようやく読んだのですが、もっと早く読んでおくべき本だったと思います。

よく言われる「小さな政府」は、一見すると福祉や社会保障が手薄になり、弱者に厳しい社会という負の面が目立ち、そのメリットが直感的には分かりにくいものです。
「新自由主義」もその流れの先にあるものですが、その意味するところ、根拠となる考え方、守ろうとしているものなどを、よく知らずにいました。

小泉改革で行われた「新自由主義」は、その意味では中途半端であり、企業側の都合に立った「小さな政府」だったため、負の側面ばかり(派遣の増加など)の結果となってしまい、「小さな政府」へのアレルギーを拡大させただけ、という意味で、罪の大きいものだったと思います。
(その後は、際限なきバラマキ政治の復活で、泥沼に入り込んでいます)

この本は、サッチャー、レーガンの改革をはじめとした「小さな政府」「新自由主義」の元となる思想であり、平易な言葉で、大きな政府の問題点をわかりやすく指摘しています。大きな政府的な政策を支持するとしても、少なくともこの考え方は踏まえておくべきではないか、と感じさせる、説得力のある文章です。

現代社会に生きる人すべての必読書と言ってもいいのではないかと思います。

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ハイエクは、中央計画経済とファシズムとは同じ状態へと向かうとして、論を展開しています。
社会にとって自由こそが最大の価値であり、経済効率などその他の目的によって自由を減ずるような行為は、最終的に破壊的な結果へと導くと警告しています。
冷戦時代の西側諸国が、何に対して戦っていたのか、この本を読むとよくわかると思います。

日本社会は、明確に社会主義を標榜していないものの、戦後からの経済発展は、主に政府官僚主導の中央集権型のものでした。
その流れは現在でも続き、大企業をはじめとした産業ピラミッドが非常に強固で、そこへの便宜を図る恣意的な政策、経済運営が続いています。
その結果として、IT革命後のイノベーションには見るべきものもなく、世界の大変化に対して大きく遅れをとる状態となっています。

この本では、このような状況を厳しく戒めていると思います。
(将来からの借金を重ねてでも)このような体制を無理にでも継続してこうとする状況こそ、自由を手放していく過程に他ならない、ということが読み取れます。
現に、社会全体として、ジワジワと自由な思考、行動の範囲は狭められてきているのではないでしょうか。

今こそ読まれるべき本だと思います。

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